『富嶽三十六景』 相州梅沢庄  
  『相州梅沢庄』相州梅沢庄

『富嶽三十六景』より,
日付 初版: 1830年頃 .天保元−天保3年(1830-32)頃
技法 多色摺り木版印刷

現在の神奈川県二宮町梅沢地区
梅澤は東海道大磯宿(神奈川県大磯町)と小田原宿(同小田原市)との間にある宿で、
茶屋が並び休息所として繁盛しました。
藍色を基調とし、たなびく霞には紅も施されていますので、早朝の景観でしょうか。
富士に向かい、天空を舞う二羽の鶴と水辺でついばむ五羽の鶴が点景として描かれて
います。
富士と鶴はおめでたの画題で、鶴が七羽という数も縁起がよいようです。
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左右に配置された雲、水辺に寄り添う5羽の鶴、
そして富士に向かって悠然と飛ぶ2羽の鶴は、
蓬莱山図など縁起のよい吉祥図を想起させます。
本図は発色がよく、当時人気のあった顔料であるベロリン藍(通称ベロ藍)
を基調に仕上げた藍摺りと呼ばれる作品です。
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梅沢は、二の宮の庄にあって押切川のほとりで富士が眺められる場所です。
青い富士と丹頂鶴、うす紅色の雲、幻想的な色合いが美しい作品です。
うす紅色の雲は夜明け前の一瞬の空の色を示しており、
富士に向かって飛び立つ丹頂鶴から、
朝のすがすがしさが放たれるようです。富士と鶴が主に描かれています。
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梅沢は神奈川県二宮町にあった、東海道沿いの休憩所です。
相模湾に注ぐ中村川のほとりから、富士を望んだ絵柄です。
祝い事を表す鶴が描かれているので、新春をイメージさせる作品です。
 
   
 原図  線図    
       
       
       
       
       
       
 完成図